そらねっと通信局

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Wed, 02 May, 2007 北へ:岩手旅行第1日目 [長年日記]

[rail] 大宮〜新花巻:東北新幹線やまびこ41号

朝まだ早い大宮駅に降り立つ。天気は今にも降り出しそうな曇り空。先を思い遣りながら、6時30分発の列車を待つ。大宮駅新幹線発車列車案内

6:30、大宮駅17番線に滑り込んできたのは、上半分が白、桃色の帯を挟んで下半分が青というE2系。定刻に大宮を発車し、順調に加速してゆく。見慣れた大宮の街があっという間に後ろに過ぎ去り、新幹線は一面の緑の中を突き進んでゆく。

福島・仙台あたりでは、通勤に利用されているのかスーツ姿のビジネスマンも目立つ。PCで資料を作ったり、新聞を読んだり、携帯で情報収集をしたり…。自分も急ぐ旅ではないが、そんな彼らと同じように携帯を取り出した。今日の宿を最終決定し、予約する。

昔、家族旅行に行った時には、父親があちらこちらへと電話をかけまくっていた記憶がある。それが今は本の数度のキー操作で、しかも出発してからでもできてしまう。便利な世の中だ。

9:04、定刻に新花巻駅に到着。天気は雨。駅の指定・特急券販売機で「小さな旅フリーきっぷ(岩手フリーエリア)」(2,200円)を購入し、さて釜石線の乗り場は…と探すと、駅舎の外だという。

駅前は立派なロータリーだが、典型的な農村地帯のど真ん中に駅だけがそびえ立っているという構図。花巻の街の中心はここではないらしい。駅舎のすぐ前にある地下道で道路を横断すると、やっつけ工事っぽく見える釜石線新花巻駅の駅舎に到着した。

[rail] 新花巻〜釜石:釜石線3621D列車快速「はまゆり1号」

単線・非電化の線路にホームと簡単な待合所だけを取り付けた駅舎で、観光客然とした人たち数名とともに列車を待つ。新花巻駅

流石宮沢賢治の地元だけに、釜石線の各駅にはエスペラント語で各駅をイメージした名前が付けられていて、特別な看板が据え付けてある。新花巻駅には「ステラーロ(星座)」という名前がついていた。釜石線エスペラント語駅名一覧

3両編成の快速「はまゆり」は定刻に新花巻駅を発車。指定席の3号車を先頭にした3両編成だ。JR東日本の新型のハイパワー気動車キハ100系*1を、特別列車仕様に改装したものと思われる。はまゆり1号車内

時に激しく降る雨の中を、ぐいぐいと走る気動車。1駅飛ばして土沢駅に到着。行き違いのためしばらく停車。ここは「岩手軽便鉄道」が大正2年に開業したときの終着駅だったとのことだ(始発は花巻)。

この軽便鉄道はやがて、遠野を経て仙人峠を結ぶようになったが、この鉄道は宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』を構想するきっかけとなったのだという。今とは通っている経路はやや異なっているのだろうが、激しい標高差のある岩手を横断するために、築堤や橋梁を越えて走る様は、たしかにそのまま天空へと舞い上がってしまうのでは、という想像をかき立ててくれる気がした。

当初は遠野で降り立つ予定だったので、「はまなす1号」の指定席も遠野までしか取っていない。だがこの天候では遠野を訪れたところで楽しめるものはさしてないだろうと思い、遠野で降りるのはやめにして、そのまま自由席に移動して乗りつづけることにした。

遠野盆地を抜けると、列車はまた登山に挑む。峠を越え、上有住からはトンネルの連続。

ここでひとつ見ものがあるのだ。

上有住の次に、陸中大橋という駅がある。ここは釜石線全通前に、現・新日鐵の専用線が釜石から通っていた場所である。陸中大橋には鉄鉱山があり、その鉱石を製錬して、海辺の釜石にある製鉄所へと輸送していたのだ。

駅手前で高所にかかる鉄橋を列車が通る。そこから、この駅の構内を眼下に望むことができるのだ。

普通、「これから向かう駅」というものは進行方向前方にあるから、駅構内を俯瞰するということはできないはずである。しかしここは標高差を越えるためにこのようなギリシア文字のΩのような線形となっているため、駅の構内を俯瞰することができるのだ。事前に知ってはいたが、実際に見てみるとちょっと感動するものである。陸中大橋での運転停車中に隣席の初老の夫婦とそんな話をしたら、感心され「ほかにもこういうところってあるんですか」などと聞かれたりもした。

11:04、定刻に釜石着。駅のスタンプ等押すが、街に繰り出すほど天気も良くなく、時間もそれほどなかったので、盛へと向かう三陸鉄道の車輌をカメラに収めるに留める。

*1 窓が開かないのを除くと、乗り心地といい、走りっぷりといい、この車輌は結構好きである。

[rail] 釜石〜宮古:山田線5645D列車

釜石線から山田線に乗り換え。首都圏などと違い、列車ごとに改札口を開けて改札をするスタイルだ。「ただいまより11:25発宮古行き普通列車の改札を開始します」というアナウンスも新鮮だ。

三陸海岸は学校でも習うように「リアス式海岸」。沿線風景も切り通しやトンネルと、山に囲まれた入り江の漁村風景の繰り返しだ。ここあたりの駅にも、釜石線同様にエスペラントの駅名がついている。

数駅で吉里吉里に到着吉里吉里王国。おなじみ井上ひさしの小説『吉里吉里人』で知られるようになった地名だ。このエスペラント名は「レジョランド(王国)」。さすが、洒落が効いている。

終点宮古には12:43着。漁業の街らしく、大漁旗風の歓迎幕が駅で迎えてくれる。宮古駅の大漁旗のような歓迎幕ここから先、盛岡までの直通列車は15:49まで無い。

ちょうど良い時間帯なので、ここで食事をとることにした。ここまで来たら魚介類を食べるに限る、とばかり、駅前の寿司店「蛇の目本店」に入る。店前のボードに「本日のお薦め」としてあった「華ちらし」(1,800円)を注文する。宮古「蛇の目本店」華ちらしマグロ、イカ、海老はもちろん、いくらやウニや各種の貝の身が、なんと何重にものったボリュームたっぷりの一品だ。実に満足できた*1

食事を終えてまだ時間があるので、海岸の方へ行こうとバスに乗る。漁村の狭い狭い道を、あえぐように走るバス。同乗の外国人観光客が「No way to go! Unbelieveable!」などと言うくらいだ。

そうして到着した浄土ヶ浜ターミナルビル。ここから遊覧船が出ているが、一回りで40分、さすがにそれに乗るほどの時間はないようだ。代わりに遊歩道を散策美しい浄土ヶ浜附近の風景。谷が氷河期終了に伴って海に沈んでできた、というリアス式海岸の様子を観察する。

バスが無いのでタクシーで駅に戻る。駅で少し買い物。宮古からは釜石(南方)・盛岡(西方)のほか、北に向けて三陸鉄道の線路が延びている。

リアス式海岸であるが故に道路事情が悪かったこの地域では、南北を縦断する鉄道の開通は地元の悲願だった。しかし全線開通を待たずして国鉄の廃止対象路線になってしまったのだ。

そんな国鉄に代わって地元自治体などが出資する第三セクター方式で「三陸鉄道株式会社」が設立され、この路線を運営することになった。開業20年以上になるが、厳しい環境の中、収益増に向けて懸命に頑張っている。観光用車輌の導入などもしているが、今回注目したのはこの「三鉄赤字せんべい」。三鉄赤字せんべい銚子電鉄に範を得たのかどうかは分からないが、一袋300円で煎餅を売っているのだ。銚子の濡れせんと違い、クッキーにも似た味わいの2種のせんべいが入っている。なかなか美味しいものだが、さて、せんべいで2匹目のドジョウは釣れるや否や。

ほかに、JRの方の窓口で宮沢賢治の童話をモチーフにしたイラストのオレンジカードを購入。イラスト集の小冊子も付けてくれた。イーハトーブなオレンジカード

*1 じつはこれまで、ウニは苦手な品のひとつだったのだが、これで食べられるようになった。

[rail] 宮古〜盛岡:山田線653D列車

さて、宮古から今夜の宿のある盛岡へと向かう。今回のスケジュールを組むにあたって最も苦労した区間だ。区間運転ならいくつかあるのだが、この区間全線を通して走る列車はそう無いのである。遠野に寄らなかったことで、宮古着が当初の予定より2時間も早かったのだが、ここでの乗り継ぎ列車は変わらなかったくらいだ。

車輌は今までと変わり、旧国鉄時代から使われているキハ52という車輌、しかも1両編成だ。キハ52乗客もさほど多くない。

再び岩手県を縦断する山脈を越える。

ちょうどNHKラジオで「乗ろう!見よう!楽しもう!鉄道の旅」という特集があるというので、ラジオの受信を試みるが、宮古の中継所の電波はすぐに聞こえなくなってしまい、盛岡の本局の電波も十分届かず、あまり聞くことができなかった。しまいには携帯すら通じないという状況に。

仕方ないので車窓をあれこれ楽しむ。沿線は川沿い。川により沿うようにして線路が走っている。

陸中川井駅では、なぜか桜が今を盛りと咲いているのが見えた。他では桜が散っていただけに、常春の桃源郷なんじゃないかと想像をふくらませてしまったくらいだ。

「区界」という、いかにもな駅もあった。あとで路線断面図で確認すると、やはりここが山田線全区間での最高地点とのこと。寄り添う川の流れの向きも、ここを境に逆方向になった。

盛岡には定刻18:00着。折しもまた雨が降り出してきた。

[food] 盛岡「ぴょんぴょん舎」冷麺

駅ビル内で安全ピンを買い求め、壊れかけた携帯の充電端末に応急処置をして、ホテルにチェックイン。荷物を残して、再び雨降りの盛岡の街に出る。盛岡「ぴょんぴょん舎」盛岡冷麺

盛岡に来たからには!ということで、有名なこの店をチョイス。ちゃんとした冷麺を食べるのは初めてだが、なかなかいいものだった。唯一、辛いスープの中に添えられた西瓜の処遇に困ってしまったが…。禁忌のビールもうまかったが、疲れてもいたのだろう。宿に帰るとすぐ床につき、寝入ってしまった。

Updated: Monday, 14 May 2007, 00:06 JST

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